2012年2月25日土曜日

壊されたワルシャワ、取り戻したワルシャワ

21日にワルシャワに着いて、22日は観光じゃなくて日本人留学生の人たちと飯食ったりスケートに行ったりした。その日本人留学生の1人の子がゲットーとかワルシャワ蜂起の博物館の場所とかを教えてくれた。ゲットーがあった当時の建物もあるということも教えてくれた。絶対に行かねばなーと思った。でその日は日本人留学生のお世話になりまくって終わった。


23日はそのゲットーと、ワルシャワ蜂起博物館に行った。

当時のまま残ってるゲットーは地図で見る限り市街地の真ん中、銀行とかホテルとか、日本でも大きいと思うぐらいのビル群の中にあった。

向かっている途中、こんなビル群の中にあるはずが無いと思って探していたとき少し不安だった。ビル群の中を歩いていたら大きな写真を掲げた古い建物があった。それが現存しているゲットーだった。
写真はユダヤ人で、建物はかなり老朽化していた。二棟向かい合って建てられていて、片方は取り壊していた。留学生が言うにはあと1,2年で取り壊されるらしい。自分は何というタイミングで来てしまったんだと思った。


ゲットーの周りは銀行やホテルが立ち並び、ワルシャワ中央駅からも近い。ゲットーを保存するよりも壊して、新しいビルを建てた方がワルシャワにとってプラスになるんだろう。
ゲットーは民族主義の負の歴史。早く忘れてしまいたいんだろう。負の歴史として視覚化されているのはやはり辛い。

辛いことを忘れること。見ないようにすることは悪いことではない。自分も原発事故や放射線のニュースとかが早くテレビから消えて欲しいと思ってしまう。いちいち悲しい気持ちになってしまうからだ。ワルシャワに住んでいる人たちもゲットーの建物を見るたび、何かネガティブな思いを持ってしまうんだろう。歴史的に価値があっても、現地に住んでいる人のことを第一に考えなければならないと思う。だからゲットーを取り壊すことは正しいとまでは言えないが、間違っているとも思えなかった。



そっからワルシャワの旧市街をぶらついた。ワルシャワの旧市街は見た目がとても新しい。なんでかなと思って地球の歩き方を見てみると、旧市街はほとんどワルシャワ蜂起の影響で建造物が崩壊しているらしかった。
おれは戦争後に新しく旧市街を作ったことに対して、すごく違和感を持った。戦争は国をリセットさせることだ。まして市街地が破壊され、たくさんの犠牲者を生み出し、ドイツやソ連に侵略されるという経験もしたのだから。
そしてリセットされたなら、新しくアイデンティティを作るべきだ、昔の建造物を作るなんて国の将来を考えていないと思った。敗戦の後、更地になったならものづくりなどに投資をすべきだと思った。旧市街を作り直しても、それは観光資源にしかならないから、収入が不安定になって、効率よく経済が回らないと思った。

その意見を京都出身の友人に話したら、建造物は地元の人たちの誇りや伝統を体現しているんだみたいなことを言っていた。なるほどなと思ったけど、少し腑に落ちなかった。


そんなことをバスで話して、ほんでワルシャワ蜂起博物館に行った。ワルシャワ蜂起とは、第二次大戦中にワルシャワのゲリラがソ連と組んで、ワルシャワを占拠していたドイツを倒そうと目論んだ戦いのことです。詳しくはwikiのワルシャワ蜂起で。

その博物館の中に入ってすぐに、破壊される前のワルシャワ市内の大きな写真があった。そこに映っていたのは、ただの普通の市民の生活だった。
クソがきがお母さんに手を引っ張られていたり、スーツ着たおっさんが歩いていたり、トラムってゆう路面電車が走っていたり。

おれはそこにワルシャワにとっての当たり前の生活を見た。その写真を見てこみあげてくるものがあった。ワルシャワの人たちが旧市街を復興させたのは、ワルシャワの旧市街は自分たちにとって当たり前のものというか、無くてはならないもののようなものだったのかなと思ったからだ。
誇りとかアイデンティティとかそんな修飾された言葉なんかじゃない。もっと当たり前のもの、人間が飯を食ってクソをするようなもの。旧市街はワルシャワ市民にとってそれぐらい大事な、あって当然なものだったのかなと思った。ワルシャワの人たちは当たり前を取り戻すために旧市街を作り直したのかなと思った。

博物館のなかに、ワルシャワ蜂起で実際につかわれていたポーランド国旗があった。その国旗はドロドロだった。ポーランドの人達は独立のために懸命に動いたのだなと。国が独立していることは普通のことじゃないんだとつよく訴えてた感じがした。
この旗をなびかせるために人がたくさん死んだ。また、そんな些細なことを阻止するために、人を殺した。


そんなワルシャワだった。
あと日本人留学生の皆様方が現人神でした。

24日のいま、ベルリンにつきました。明日からがっつりベルリン観光します。

2 件のコメント:

  1. >ワルシャワ蜂起とは、第二次大戦中にワルシャワのゲリラがソ連と組んで、ワルシャワを占拠していたドイツを倒そうと目論んだ戦いのことです。

    ソ連とは組んでないです。むしろソ連にワルシャワを解放させないために、人々が立ち上がったんです。

    あと、ゲットーを忘れてしまいたいってことはないと思うよ。街の至る所にゲットーの境界線があるし、新しくポーランド系ユダヤ人の大きな博物館をゲットーの中心に建てているところだから。

    ワルシャワ旧市街を再建したのはポーランド人の不屈の精神の象徴。良くも悪くも未来にシニカルな人たちなんです。

    ぜひベルリンではユダヤ人博物館へ。

    返信削除
  2. ワルシャワ蜂起のことはwikiに書いてたことしか知識にありません。
    ソ連から解放するためだったんですね。
    ご指摘ありがとうございます。


    博物館に関してのブログで私の視点から見た博物館というのを書きました。
    私は過去の悲しいモノ、コトを生活空間では見たく無いけど壊すのも良くないから博物館が出来たのかなと思っています。博物館が新しく出来るということは、私の視点に立つと、見たくないモノが増えたために博物館が出来たのではないと思ってしまうのです。
    忘れてしまいたいと思うからこそ、博物館に入れたいのです。
    勧めていただいたユダヤ博物館でそういう視点を私は得ました。

    返信削除